入れ歯でお困りの患者さまにお話を聞くと、「入れ歯が合わなくて、歯科医院を転々としている」という話をよくお聞きします。このページを見られている方にもそういう方がいらっしゃるかもしれません。
私は、入れ歯治療は患者さまとの二人三脚で作り上げていくものだと考えています。良い入れ歯(外れにくく、痛くなく、発音ができて、よく噛める)を作るためには、正確な型どりが必要であり、そのためには、患者さまにも定期的に来院していただかなくてはならないからです。
宮本歯科クリニックでは最低6回、約1ヶ月の期間を設けて、あなたに合った入れ歯を作成しています。
入れ歯の種類
プラスチックの入れ歯
発音しにくかったり食物の味が変わったりしたりする場合があります。
入れ歯の強度が弱く、寿命が短いといえます。
ノンクラスプデンチャー
やわらかい素材でできており、留め具に金属を使わないため、義歯だと分からないくらい自然に仕上がります。入れ歯だと気づかれたくない方にオススメです。また、強度の必要な部分に金属を併用することもできます。
金属の入れ歯
金属なので薄く作ることができるため、装着感に優れており、発音もしやすいです。金属部分が多いので、冷たいものや温かいものが感じられ、美味しく食べることができます。
- 金属の中でもチタンは、生体に優しく金属アレルギーのある方には推奨しています。
- コバルトクロムは、チタンに比べ、「装着感」や「食事のしやすさ」で若干劣るものの、比較的お求め易い制作費用となっています。
インプラントオーバーデンチャー
残存している歯やインプラントの上に入れ歯を製作していく方法です。通常の入れ歯は粘膜で支えますが、インプラントオーバーデンチャーは、歯やインプラントで支え、粘膜だけで支える通常の入れ歯よりも支持力が上がり良く噛めるようになるのが最大の利点です。
近年、臨床で多く使われており、有効な手段で、数本のインプラントでインプラント用の入れ歯(取り外し式)を固定する方法で、インプラントの上にボール型やバー型のアバットメントをアンカー(固定源・土台)として利用するために、少ない本数でも入れ歯の浮き上がりを抑えることが可能です。
従来のインプラント治療より、使用するインプラントの本数が少なく出来るため、経済的な治療法です。※顎骨の吸収程度や症例にもよります。
治療の流れ
自分に合った良い入れ歯を作るには、手間ひまをかけなければできません。当医院では最低6回来院していただきます。時間をかけて、何度も何度も型どり・測定を繰り返します。これがピッタリ合う入れ歯作りの基本なのです。
-
現在使用している入れ歯に不具合があればその日のうちに、調整させていただきます。 その後、右図のような既製トレーを使って上下とも簡単な型採りを行ないます。
-
1日目の型採り(印象をとる)から右図のような模型を起こし、それをもとに患者さんのお口にあった器具(右図のピンク色、各個トレーといいます)で再度精密な印象をとります。
-
最終的な印象から起こした模型上で右図に示す歯のない入れ歯のようなもの(咬合床といいます)を作製し、上下ともお口の中に挿入します。この段階で床の粘膜面は完成する入れ歯とほぼ同じ形態になっています。そして唾をうまく飲めるかなど機能面と、顔つきなど審美面を参考にして、入れ歯の高さを決定します。
-
咬合器に上下の模型を咬合床ごと付け、さらに上下の咬合床に右図のような器具を取り付け、再度お口の中に挿入し、下あごを自由に動かしてもらいます。見づらいですが、ここが水平的な顎位になります。この位置でもう一度、かみ合わせをとります。
-
咬合器上で上下とも歯を並べ、再度お口の中に戻して咬み合わせにくるいがないかをチェックします。また、このとき前歯の並び方に何か希望があれば直せますので遠慮なくおっしゃってください。 最終的な入れ歯の作製をします。
-
いよいよ、入れ歯の完成です。粘膜面に強く当たるところはないか、咬み合わせにくるいはないかをチェックします。実は入れ歯作りはここからが佳境に入ります。患者さんは使用してみて不具合があれば遠慮なくおっしゃって下さい。患者さんと私どもでよりお口に合うように調整していきましょう。
保険の入れ歯と保険外の入れ歯の違い
入れ歯の種類には、保険が適用できる入れ歯と、できない入れ歯があります。保険診療でも十分な入れ歯はできます。ただし、上あごがプラスチックで覆われているため、お口の中で熱さを感じることができず、「のどもと過ぎれば熱さを忘れる」の逆で、「のどもとにきて熱さを感じる」などの味覚の点、ならびに床が厚いので違和感が強いなどの欠点があります。
また、プラスチックの歯を使用するので磨耗し、せっかく設定した咬み合わせの高さが低くなり、老人様顔貌、よく咬めなくなるなどを引き起こすことがあります。その点、上あごを金属床にすると、違和感の無さや味覚は飛躍的に向上します。また、きちんと設定した咬み合わせの高さを維持するには、金属の歯がいいでしょう。
理想的な入れ歯とは?
もし、私(院長)が入れ歯をするのであれば、上あごは、金属で薄く軽く作れるチタンにします。下あごならば、耐久性を考えると、やはり金属の入れ歯でしょう。
しかし、どのような入れ歯にしても、やはり患者様にお口の特徴にあったものでなければ、合わない入れ歯になってしまいます。ご相談だけでも構いませんので、「入れ歯が合わなくて困っている」という方は、一度、お気軽にお問い合わせください。食べる喜びは、皆様にとっても私にとっても人生の中での大きな喜びだと思っています。