インプラント治療と糖尿病の関係
2024/01/26
今回は、インプラント治療と糖尿病の関係についてご紹介します。
高齢の方がインプラント治療を行う場合は、全身疾患との関連も考慮しなければなりません。糖尿病は国民の5,6人に一人がかかる可能性があるとも言われている疾患で、特に2型糖尿病は日本人に圧倒的に多い生活習慣病とされています。
糖尿病とは
糖尿病とは、インスリンの分泌が不足する、もしくは正常に機能しないために血糖値が高くなる病気です。通常であれば、膵臓から放出されるインスリンによって血糖値が下がりますが、糖尿病になると血糖をうまく細胞内に取り込めなくなり、血中に糖があふれてしまいます。糖尿病の症状には、喉の渇き、頻尿、体重減少、倦怠感などが挙げられますが、初期のうちは自覚症状がないケースもあります。
糖尿病はインプラント治療に影響がある?
インプラントの治療では、顎の骨にチタン製の人工歯根を埋め込み、骨と完全に結合させます。まず、糖尿病があると白血球や免疫にかかわる細胞の機能が低下し、感染のリスクが高くなる、傷の治りが遅くなるといったことが起こります。また、血糖値をコントロールするための自己注射をしている場合、インプラント手術を行う時間帯を考慮しておかないと、タイミングが合わず低血糖症状を生じる可能性があります。そのため、糖尿病をお持ちの方がインプラント治療を行う際には担当歯科医師の十分な知識や内科との連携が必要です。
リスクを考慮して安全な治療を
糖尿病をお持ちでもインプラントの治療は可能ですが、骨の代謝の状態によっては人工歯根と骨の結合がうまくいかない、インプラント周囲炎になりやすいなどのリスクも懸念されます。ヘモグロビンの値(HbA1c)が7.0以下にコントロールされていることが望ましいとされていますが、状況に応じて抗生物質を投与するなどして治療を進めていけば、安全に手術を行えます。もちろん、手術時の感染対策も万全にする必要があります。糖尿病に関連するものはもちろん、そのほかにも服用している薬がある場合は前もって担当歯科医師に申し出ておきましょう。
まとめ
今回は、インプラント治療と糖尿病の関係についてご紹介しました。高齢の方がインプラント治療を検討する際は、様々なリスクも考慮した上で、それでもインプラントを選択するのか、入れ歯やブリッジにするのか、歯科医師とよく相談しましょう。当院では患者様のお口の中の状況に合わせた治療方法をご提案いたしますので、些細なことでもお気軽にご相談ください。