妊娠中に局所麻酔をしても大丈夫?
2025/03/21
「ミニマルインターベンション(MI)」の考え方には5つの項目が掲げられており、その中の一つに「患者様への教育」があります。その代表例でもある口腔衛生指導(OHI)は歯科医院において欠かせない役割を果たしており、単に歯を磨く方法を教えるだけでなく、患者様の全身の健康に直結する重要なプロセスです。今回は、妊娠中に局所麻酔をしてもよいのか、その安全性についてご紹介します。
局所麻酔とは?
局所麻酔は、体の一部分だけの感覚を一時的に麻痺させることで痛みを感じずに処置を受けられるようにする方法です。歯科で使われる主な局所麻酔には以下の3種類があり、処置の内容によって使い分けられます。
・表面麻酔
歯ぐきの表面に麻酔薬を塗布し、感覚を鈍くする方法です。注射の痛みを軽減する目的で使われることが多く、負担が少ない麻酔方法です。
・浸潤麻酔
歯ぐきに直接麻酔液を注射し、歯やその周辺の組織を麻痺させる方法です。むし歯の治療や歯の根の治療など、比較的浅い部分の処置でよく使われます。
・伝達麻酔
神経が集まる場所に麻酔を注射し、広範囲を麻痺させる方法です。主に親知らずの抜歯や顎の奥深くの処置で使用されます。
局所麻酔が必要になる歯科処置
局所麻酔を使用する歯科治療には、下記のようなものがあります。
・むし歯の治療
中程度から重度のむし歯の治療では、歯を削る際の痛みを和らげるために浸潤麻酔が使われます。
・歯の根の治療(根管治療)
歯の神経が炎症を起こしている場合、痛みを伴う治療になるため麻酔が欠かせません。
・親知らずの抜歯
表面麻酔と浸潤麻酔のみで対応できるケースも多くありますが、親知らずが深く埋まっている場合などには、伝達麻酔を使って広範囲を麻痺させて処置を進めることもあります。
妊娠中に局所麻酔をしても大丈夫?
妊娠中に歯科治療を受ける際に「局所麻酔を使っても赤ちゃんに影響はないのだろうか?」と心配される方が多いかもしれません。しかし、実際には歯科で使用される局所麻酔は、妊婦さんや胎児に対して安全とされています。歯科で使用される局所麻酔は、薬液の量が非常に少なく、麻酔が効く範囲も限られています。そのため、全身に影響が及ぶことはほとんどありません。
一方で、麻酔の影響を心配して痛みを我慢し続けることは、妊婦さん自身にとって大きなストレスとなります。ストレスは血圧の上昇やホルモンバランスの乱れを引き起こし、母体や胎児に悪影響を及ぼす可能性があります。そのため、必要な場合には麻酔を使用して適切な治療を受けることが重要です。
まとめ
妊娠中の歯科治療では、局所麻酔の安全性について心配になるかもしれませんが、歯科で使用される麻酔は少量で、胎児に影響を与えることはほとんどありません。適切な治療を受けることで妊娠中の口腔内トラブルを早期に解決し、母体と胎児の健康を守りましょう。
Category - MIミニマムインターベーション