ダイレクトボンディングに使われる素材
2024/05/31
今回は、ダイレクトボンディングの治療で使われる素材についてご紹介します。ダイレクトボンディングは歯の形態を修復して隙間を埋めたり、むし歯により失われた歯質を修復する方法ですが、これらにはハイブリッド樹脂が使用されます。ハイブリッド樹脂とはどのような素材なのでしょうか。
ハイブリッド樹脂とは
ハイブリッド樹脂とは、一般的な保険診療に使われるプラスチック素材(コンポジットレジン)とセラミックの粉末を混ぜ合わせた材料です。ペースト状になっていて、これを直接歯に接着し、形態を整えます。この素材は光重合によって硬化するため、一定時間光を照射して硬化させてから研磨をして細かな形態を整えます。
ハイブリッド樹脂を使用するメリット
ハイブリッド樹脂を使うことのメリットには、以下のようなことが挙げられます。
・コンポジットレジンより見た目が良い
コンポジットレジンに比べて色のバリエーションが豊富なので、治療をする歯に合わせてできる限り近い色で修復ができます。
・コンポジットレジンより耐久性・強度に優れている
コンポジットレジンは比較的短期間で着色や変色をしてしまいますが、それに比べるとハイブリッド樹脂は劣化しにくい素材です。また、比較的割れにくいことも特徴です。
・セラミックよりは費用を抑えられる
この材料を使用する場合は健康保険の適用外となりますが、オールセラミックのクラウン(被せ物)などに比べると費用を抑えた治療ができます。
ハイブリッド樹脂の注意点
ハイブリッド樹脂は様々なメリットのある素材ではありますが、オールセラミックに比べると細かな透明感やツヤに見劣りすることもあります。強度や耐久性についても同様です。奥歯には強い力が加わるため、ダイレクトボンディングの治療は向かない可能性があります。
まとめ
今回は、ダイレクトボンディングの治療で使われるハイブリッド樹脂についてご紹介しました。当院でのダイレクトボンディングは、審美性や耐久性を重視して保険適用外のハイブリッド樹脂を使用しています。当院では患者様のお口の中の状況に合わせた治療方法をご提案いたしますので、些細なことでもお気軽にご相談ください。
自宅でできるプラークコントロール 歯ブラシはどう選ぶ?
2024/05/29
今回は、セルフケアでのプラークコントロールにおいて大切な歯ブラシの選び方についてご紹介します。「ミニマルインターベンション(MI)」の考え方には5つの項目が掲げられており、その中の一つに「口腔内の細菌叢の改善」があります。細菌叢のバランスを保つために必要となるのが「プラークコントロール」です。ご自宅でのプラークコントロールの基本となるのが毎日の歯磨きですが、磨ければなんでもよいと思って歯ブラシを選んでいませんか?
自宅でできるプラークコントロール
お口の中には無数の細菌がいますが、プラークコントロールによってこれらのバランスがとれていればむし歯や歯周病などのトラブルを回避できます。いくら歯科医院でプロフェッショナルケアを受けても、自宅でのプラークコントロールが適切に行えていなければお口の中の環境をよい状態に保てません。自宅でできるプラークコントロールの基本は、毎日の歯磨きなどのセルフケアです。
歯ブラシは「磨ければよい」ではない
毎日の歯磨きでは、ほとんどの方が歯ブラシで歯を磨くでしょう。日頃何気なく買っているかもしれない歯ブラシですが、磨ければ何を選んでも同じというわけではありません。ドラッグストアやバラエティショップなどにはたくさんの種類の歯ブラシが並んでいますが、皆さんはどのような基準で歯ブラシを選んでいますか?
歯ブラシはどう選ぶ?
歯ブラシを選ぶときのポイントはいくつかありますが、今回は以下の2点をご紹介します。
・ヘッドの大きさ
効率よく磨くためにも非常に重要なのが、歯ブラシのヘッドの大きさです。ヘッドが大きすぎるとブラシが奥まで届きません。上の前歯2本分(約2cm)の大きさを意識して選びましょう。
・毛のかたさ
歯ブラシの毛の硬さは、「かため」「ふつう」「やわらかめ」の3種類が市販されています。この中からどれを選ぶかは歯ぐきの状態によって左右されますが、歯ぐきが健康な人は「ふつう」を選ぶのが基本です。重度の歯周病などで歯ぐきから出血しやすい人は「やわらかめ」を選び、歯ぐきの状態が改善してきたら「ふつう」に戻すようにしましょう。
まとめ
今回は、セルフケアにおける歯ブラシの選び方についてご紹介しました。どのように歯ブラシを選んだらよいか分からない方は、お気軽に歯科衛生士までご相談ください。
当院ではミニマルインターベンション(MI)の考え方に基づき、患者さまお一人おひとりにとって最善の治療方法をご提案しております。ご予約、お問合せはお電話で承っております。
ダイレクトボンディングで行われる「ラバーダム防湿」とは
2024/05/27
今回は、ダイレクトボンディングの治療の際に行われる「ラバーダム防湿」ついてご紹介します。ダイレクトボンディングは、ハイブリッド樹脂を用いて歯の形態を修復して隙間を埋めたり、むし歯により失われた歯質を修復する方法です。これらの治療の中で行われるラバーダム防湿とはどのような処置で、どのようなメリットがあるのでしょうか。
ラバーダム防湿とは
ゴム製のシートをかけて治療をする歯だけを露出させ、無菌的処置ができる環境を作り出す処置をラバーダム防湿といいます。ダイレクトボンディングのように治療をする歯を唾液から隔離したい場合などにこの処置は行われ、唾液からの細菌感染のリスクを極力低くしたい根管治療などでもラバーダム防湿は非常に重要な処置です。
ラバーダム防湿はなぜ必要?
ダイレクトボンディングは、歯質に直接ハイブリッド樹脂を接着させる治療方法です。歯質と材料を確実に接着させるためにはできるだけ唾液などの水分を排除することが非常に大切ですが、口の中というのは基本的に唾液で常に潤っている状態です。そこで、意図的に完全防湿できる環境を作り出すために行われるのがラバーダム防湿なのです。また、ラバーダム防湿で歯だけを露出することができれば、歯ぐきや粘膜、唇、舌などが処置中に患部に触れることを防ぐこともできます。さらに治療を行う歯科医師にとっても、視野が確保されることで修復の精度向上が期待できます。
ラバーダム防湿の手順
- ラバーダム(ゴム状のシート)に、治療をする歯の位置に合わせて穴を開けます
- 開けた穴にクランプと呼ばれる金属の金具を装着します。
- クランプを歯にかけ、治療をする歯だけを露出させます。
- 金属製の枠にラバーダムを固定します。
ゴムのアレルギーをお持ちの方にはこの方法は行えない場合がありますので、ご不安な方は歯科医師に遠慮なく申し出てください。
まとめ
今回は、ダイレクトボンディングの治療の際に行われるラバーダム防湿についてご紹介しました。ダイレクトボンディングの際にはラバーダム防湿を行うことで、治療の精度や安全性を高めることができます。
当院では患者様のお口の中の状況に合わせた治療方法をご提案いたしますので、些細なことでもお気軽にご相談ください。
お口の中の細菌叢を改善するための「プラークコントロール」とは
2024/05/24
今回は、口腔内の細菌叢を改善するための「プラークコントロール」についてご紹介します。「ミニマルインターベンション(MI)」の考え方には5つの項目が掲げられており、その中の一つに「口腔内の細菌叢の改善」があります。細菌叢のバランスを保つために必要となるのが「プラークコントロール」です。具体的にどのようなことに気をつければよいのでしょうか。
プラークコントロールの重要性
私たちのお口の中には500~700種類ほどの「常在菌」がいますが、これらは体の健康を維持するための細菌だけではありません。酸で歯が溶けるむし歯や、歯ぐき及びその周囲に炎症を起こす歯周病の原因となる細菌も含まれています。これらの細菌のバランスがとれていればお口の中で問題が起こることは避けられますが、プラークコントロールができていないと歯やお口の健康を維持できません。
プラークコントロールはどのように行えばよい?
では、プラークコントロールとは具体的にどこでどのように行えばよいのでしょうか。大きく分けて2つの手段があります。
・プロフェッショナルケアにおけるプラークコントロール
定期的に歯科医院で受けるクリーニングなどの処置です。歯科医師や歯科衛生士により、お口の中の状態に合わせて適切なケアが行われます。特に歯科医院におけるプロフェッショナルケアでは、ただプラークや歯石を除去するだけでなく、再付着しにくくするという点も重要視しています。また、正しく歯を磨く方法や補助清掃用具の使い方、食生活における注意点を指導することも、プロフェッショナルケアに含まれます。
・セルフケアにおけるプラークコントロール
患者様ご自身が、毎日ご自宅で行う歯磨きなどのセルフケアです。歯ブラシで磨くだけでなく、デンタルフロスや歯間ブラシ、ワンタフトブラシ、洗口液などを併用することもセルフケアに含まれます。歯科医院でプロフェッショナルケアを受けた後にその状態をいかに維持できるかは、毎日のセルフケアを正しく丁寧に行えるかどうかにかかっています。
まとめ
今回は、口腔内の細菌叢を改善するためのプラークコントロールについてご紹介しました。プラークコントロールは歯科医院だけでなく、ご自宅でも毎日取り組んでいただくことが歯やお口の健康を維持するために大切です。
当院ではミニマルインターベンション(MI)の考え方に基づき、患者さまお一人おひとりにとって最善の治療方法をご提案しております。ご予約、お問合せはお電話で承っております。
ダイレクトボンディングの治療の流れ
2024/05/22
今回は、ダイレクトボンディングの治療の流れについてご紹介します。ダイレクトボンディングは、ハイブリッド樹脂を用いて歯の形態を修復して隙間を埋めたり、むし歯により失われた歯質を修復する方法です。どのような流れで治療が進められていくのか、知っておきましょう。
1.口腔内検査
まずはお口の中全体の状態を確認します。目で見るだけでなく、レントゲンによる画像検査や、必要に応じて歯周病の検査も行います。
2.治療方法のご説明
ダイレクトボンディングを行う場所についての治療方法をご説明します。ダイレクトボンディングのメリットだけでなく、注意しなければならない点についてもお話しします。
3.ラバーダムを装着する
ダイレクトボンディングの治療を進めていく際には、「ラバーダム」とよばれる防湿方法を用います。ラバーダム防湿は根管治療の際に用いられることもありますが、完全に防湿をした環境下で治療を行うことがダイレクトボンディングを成功させるために非常に重要です。ラバーダムについては次回以降のブログで詳しくご紹介します。
4.むし歯の除去
むし歯になっている箇所がある場合は、その部分を削って除去します。ダイレクトボンディングはミニマルインターベンション(MI)の考え方に基づいた治療方法でもあるため、歯質を削る量は最小限に抑えます。
5.ダイレクトボンディングの処置
酸処理をしたのちプライマー処理をし、ハイブリッド樹脂で修復をします。このとき、いくつかの色のハイブリッド樹脂を何層にも重ねながら修復をすることで、天然歯に近い色調や透明感を再現していきます。基本的に歯の型どりは必要ないので、その場で修復処置ができます。ハイブリッド樹脂は光で硬化させます。
6.咬合調整および研磨
修復後の形や噛み合わせを最終的に調整し、研磨をして表面を滑沢にします。
まとめ
今回は、ダイレクトボンディングの治療の流れについてご紹介しました。ダイレクトボンディングは全ての症例に適応できるとは限りませんが、適用できる場合は短時間で美しい仕上がりを叶えられる修復方法です。
当院では患者様のお口の中の状況に合わせた治療方法をご提案いたしますので、些細なことでもお気軽にご相談ください。