お口の中の細菌をコントロールするとはどういうこと?
2024/05/20
今回は、口腔内の細菌叢をコントロールするという考え方についてご紹介します。歯をなるべく削らない治療「ミニマルインターベンション(MI)」の考え方には5つの項目が掲げられており、その中の一つに「口腔内の細菌叢の改善」があります。誰しもお口の中には細菌が棲みついていますが、これらの細菌をコントロールするとはどういうことなのでしょうか。
お口の中の細菌のバランス
前回までのブログでもご紹介したように、私たちのお口の中には500~700種類ほどの「常在菌」がいます。常在菌は外からの微生物やウイルスの侵入を防ぐ役割をもつものもあり、私たちの全身の健康を維持するという大きな役割を果たしています。お口の中には多数の細菌が存在していることになりますが、これらは同じ種類同士、または異なる種類同士でコミュニティをつくり、バランスをとりながら共存しているのです。
お口の中の細菌のバランスが崩れると?
細菌のバランスがとれている状態であれば、むし歯や歯周病の原因となる細菌が活発化して病気を生じさせるようなこともありません。しかし、このバランスが崩れたときにはむし歯や歯周病の原因となる細菌の割合が増え、それぞれの病気を発症させてしまいます。
細菌叢をコントロールする必要性
とはいえ、お口の中からむし歯や歯周病の原因となる細菌を完全に除去するのはほとんど不可能に近いことです。したがって、これらの病気の原因となる細菌が増殖したり活性化しないよう、細菌叢をコントロールしてバランスをとることが非常に重要になります。細菌叢をコントロールするための手段として最も取り組みやすいものが「プラークコントロール」です。むし歯や歯周病の原因となるプラークを確実に除去することで、お口の中の細菌叢をコントロールし、病気を防ぐことに繋がります。
まとめ
今回は、口腔内の細菌叢をコントロールするという考え方についてご紹介しました。お口の中の細菌叢のバランスを保つためには、日々のプラークコントロールを確実に行うことが大切です。
当院ではミニマルインターベンション(MI)の考え方に基づき、患者さまお一人おひとりにとって最善の治療方法をご提案しております。ご予約、お問合せはお電話で承っております。
ダイレクトボンディングに代表される保険診療と自費診療の違い
2024/05/17
今回は、保険診療と自費診療の違いについてご紹介します。歯の形態を修復する方法の一つに「ダイレクトボンディング」とよばれるものがありますが、当院では自費診療として取り扱いをしています。そもそも保険診療と自費診療ではどのような違いがあるのでしょうか?
保険診療とは
国民健康保険法や健康保険法によって定められている診療を保険診療といいます。保険証を提示することで、治療にかかる費用の自己負担額を軽減できるものです。自己負担率は基本的には3割ですが、年齢などにより異なることがあります。保険診療では治療の方法や内容、検査、治療に使用する材料なども全て細かく決められており、その制限の範囲内で治療を行います。
自費診療とは
一方、医療保険制度を利用しない診療を自費診療といいます。治療にかかる費用は全額(10割)を患者が負担するものです。治療の内容や使用する薬剤、材料などに制限がないため、治療の選択肢は広がります。ただし自費診療の金額は歯科医院ごとに自由に決められるため、同じ治療内容であっても歯科医院によって金額が異なることがあります。
保険診療と自費診療の違い
保険診療と自費診療の大きな違いは、使える材料が異なるということです。歯の修復をする際に、保険診療の範囲内で治療をしようとすると金属や歯科用プラスチック(レジン)を使うことになります。一方、自費診療であれば使える材料の選択肢が非常に多くなります。セラミックやジルコニアなど、見た目や耐久性を兼ね備えた材料の使用が可能です。当院のダイレクトボンディングでは、ハイブリッド樹脂を用いています。ハイブリッド樹脂は保険適用の歯科用プラスチックに比べて色調の再現性や耐久性にも非常に優れていますが、セラミックほど高額ではないので経済的な負担も少なく済みます。
まとめ
今回は、ダイレクトボンディングに代表される保険診療と自費診療の違いについてご紹介しました。自費診療はただ高額なだけではなく、それに値するメリットがあります。ダイレクトボンディングはミニマルインターベンションの考え方に基づいた治療方法の一つでもあり、歯を修復する際の選択肢としてもおすすめです(ただし全ての症例に適応できるとは限りません)。
当院では患者様のお口の中の状況に合わせた治療方法をご提案いたしますので、些細なことでもお気軽にご相談ください。
お口の中の細菌によって何が起こる?
2024/05/15
今回は、私たちのお口の中に常に存在する「口腔常在菌」の役割や常在菌によって起こるお口のトラブルについてご紹介します。歯をなるべく削らない治療「ミニマルインターベンション(MI)」の考え方には5つの項目が掲げられており、その中の一つに「口腔内の細菌叢の改善」があります。お口の中には数百種類もの常在菌がすみついていますが、それらがいることによって何が起こるのでしょうか。
常在菌は2種類に分かれる
口腔常在菌は、身体の健康を守る役割を果たす細菌と、お口のトラブルを引き起こす細菌の2種類に分けられます。ただし、口腔常在菌についてはまだ詳細が解明されていないことも多く、一概に「善」と「悪」には分類できないともいわれており、現在も様々な研究が進められています。
身体の健康を守る働きをする細菌
口腔常在菌は、全身の免疫にも大きく関与していると考えられています。バイオフィルムを形成して病原体に悪影響を及ぼすようなウイルスや微生物の侵入を防ぐとともに、唾液として飲み込まれて口腔以外の体の組織に定着して全身の健康を守ります。また、食べ物の消化を助ける酵素を分泌する働きや、口臭を抑える働きをもつ細菌もいます。
お口のトラブルを引き起こす細菌
口腔常在菌によって引き起こされるお口のトラブルとして代表的なものは、以下の3つです。
・むし歯
むし歯は細菌による感染症です。細菌だけがむし歯の原因にはなりませんが、プラークや歯の質、時間の経過などの条件が重なるとむし歯を引き起こします。
・歯周病
歯ぐきや歯を支える骨に炎症が生じる歯周病も、細菌による感染症の一種です。プラークの中で細菌が繁殖すると、細菌が産生する毒素によって歯ぐきが腫れたり出血します。さらに症状が進行すると、歯を支える骨が溶かされて歯を失う原因になることもあります。
・口臭
口臭にはいくつか種類がありますが、お口の中に原因がある場合は口腔内の細菌叢が大きく関わっているといわれています。口の中の常在菌がタンパク質を分解することが口臭を発生する原因の一つでもあり、常在菌の種類によって臭いの強さも変わってきます。
まとめ
今回は、「口腔常在菌」によって起こることについてご紹介しました。お口や全身の健康を維持するためには、口の中を健康に保ち細菌叢のバランスをとることが大切です。
当院ではミニマルインターベンション(MI)の考え方に基づき、患者さまお一人おひとりにとって最善の治療方法をご提案しております。ご予約、お問合せはお電話で承っております。
ダイレクトボンディングはどのような人に向いている?
2024/05/13
今回は、ダイレクトボンディングはどのような人に向いているかについてご紹介します。ハイブリッド樹脂を何層にも重ねて歯の形態を修復し、むし歯により失われたエナメル質や象牙質を補う方法をダイレクトボンディングといいます。前回までのブログでメリットや検討する際に気をつけたい点をお伝えしましたが、それらを踏まえた上でこの治療方法はどのような人に向いているのでしょうか。
歯と歯の間の僅かな隙間を埋めたい人
歯と歯に隙間があいている状態の歯列である「すきっ歯」の治療には、セラミック治療、矯正治療、そしてダイレクトボンディングの3つの方法が主流です。ダイレクトボンディングであれば、歯の隙間が気になる箇所を短時間で修復できます。前歯であっても、周りの歯に合わせた色味や透明感を再現することで自然な仕上がりが可能です。
歯の形を少しだけ整えたい人
日常的な歯ぎしりなどで歯の先端が摩耗してギザギザになってしまった、生まれつき歯の大きさが揃っていない、外傷で少しだけ歯が欠けてしまった、など少しだけ歯の形態を整えたい人にもダイレクトボンディングは有効です。詰め物や被せ物を作製するときのような歯の型どりなども必要ないので、その場で治療ができます。
小さなむし歯を治したい人
むし歯の範囲が小さい場合には、ダイレクトボンディングでの修復も可能です。また、過去に保険適用の歯科用プラスチックで治療をしてある部分をやり直すことも場合によっては可能です。
ダイレクトボンディングが適さない例
基本的に、ダイレクトボンディングは広い範囲の修復にはあまり向いていません。治したい場所が前歯であっても奥歯であっても、むし歯が進行して大きく削らなければならない場合はセラミック製の詰め物や被せ物を検討したほうが、強度などの面で良いケースもあります。どちらの治療方法を選択するかは、残っている歯質の量や噛み合わせの状態、噛み合わせの力などによって変わります。
まとめ
今回は、ダイレクトボンディングがどのような人に向いているかについてご紹介しました。全ての症例に適応できるとは限らないため、適用できるかどうかは担当医に相談してみましょう。
当院では患者様のお口の中の状況に合わせた治療方法をご提案いたしますので、些細なことでもお気軽にご相談ください。
お口の中にはどのような細菌がいる?
2024/05/10
今回は、私たちのお口の中に常に存在する「口腔常在菌」についてご紹介します。歯をなるべく削らない治療「ミニマルインターベンション(MI)」の考え方には5つの項目が掲げられており、その中の一つに「口腔内の細菌叢の改善」があります。毎日歯をしっかり磨いているから自分の口の中には細菌はいない、と思っていらっしゃる方はいませんか?誰しも、お口の中には細菌が棲みついているのです。
人間と常に共にある細菌とは
細菌というと不潔な場所についているもの、病気の感染源となる悪いものというイメージを抱いている方もいらっしゃるかもしれません。しかし、細菌には様々な種類があり、その中には健康であっても常に体の中の決まった場所に生息している細菌もいます。そのような細菌を「常在菌」といいます。常在菌は私たちの皮膚や鼻、口、のど、大腸など様々な場所に棲みついているのです。
口の中にはどのような細菌がいる?
口の中に定着している細菌を、「口腔常在菌」とよびます。これらは口の中の粘膜や舌、歯、歯ぐきなどで細菌の集合体である「細菌叢」を形成しています。常在菌は500~700種類ほどあるといわれていますが、必ずしもすべての細菌が人体に悪さをするようものではありません。逆に、身体に害を与える微生物や細菌の侵入を防ぐ役割を果たしていることもあります。口腔常在菌にはむし歯の原因となる「ミュータンス菌」や、歯周病の原因になる「ジンジバリス菌」という細菌も含まれています。ただし、これらの細菌が存在しているだけでむし歯や歯周病になるということではありません。むし歯や歯周病には細菌以外にも原因があるため、それらの要因が重なり合ったときに病気が生じます。
まとめ
今回は、私たちのお口の中に常に存在する「口腔常在菌」についてご紹介しました。お口の中に棲みついている細菌は様々な役割を果たしていますが、健康を維持するためには細菌叢のバランスを保つことが大切です。次回以降のブログでは、お口の中の細菌がどのような働きをもっているのかをより詳しくご紹介します。
当院ではミニマルインターベンション(MI)の考え方に基づき、患者さまお一人おひとりにとって最善の治療方法をご提案しております。ご予約、お問合せはお電話で承っております。