いつでも専門医にかかれる安心

赤ちゃんとは食器の共有を避けるべき?現在の見解を解説

「ミニマルインターベンション(MI)」の考え方には5つの項目が掲げられており、その中の一つに「患者様への教育」があります。その代表例でもある口腔衛生指導(OHI)は歯科医院において欠かせない役割を担っており、単に歯を磨く方法を教えるだけでなく、患者様の全身の健康に直結する重要なプロセスです。今回は、親子での食器共有とむし歯リスクの本当の関係についてご紹介します。

 

食器の共有は避けるべき?

「親子で食器を共有するとむし歯菌がうつるから、同じスプーンやコップを使わないほうがいい」という情報を耳にしたことがある方も多いのではないでしょうか。確かに以前から、親と子どもの間でむし歯菌が感染を防ぐため、食器の共有を避けるべきだという意見が広まってきました。しかし、最近の研究では、この考え方に対して新たな視点が示されています。

 

食器共有よりも前から起こる口腔細菌感染

最近の研究では生後4か月の時点で、すでに母親から子どもへ口腔細菌が伝播していることが確認されています。これは、離乳食開始前の時期、つまり食器を共有する以前から、親子間で細菌のやりとりが起きていることを示しています。日常のスキンシップ、例えばキスや頬ずり、指しゃぶりなどを通じて、親の唾液が子どもに触れる機会は非常に多く存在しています。そのため、食器を共有する・しないだけで口腔細菌の感染を完全に防ぐことはできないということです。したがって、食器の共有に関してはあまり神経質になりすぎる必要はないというのが、近年の見解です。

 

むし歯の原因はミュータンス菌だけではない

むし歯の原因菌といえば「ミュータンス菌」がよく知られています。実際に、親のミュータンス菌が子どもに感染することは複数の研究で確認されています。しかし、口腔内には数百種類以上の細菌が存在しており、ミュータンス菌以外にも酸を作り出す細菌が多くいます。これらの多様な細菌たちが総合的に作用し、むし歯の発生に関与しているのです。つまり、むし歯は特定の菌だけで起こるわけではないことを理解しておくことが大切です。

 

食器の共有とう蝕リスクに科学的根拠は?

では、食器の共有を避ければむし歯を防げるのでしょうか?日本で行われた研究によると、3歳児を対象に食器共有とう蝕の関係を調査した結果、親と食器を共有していたかどうかと、むし歯の発生率に関連性は認められなかったと報告されています。むし歯は、砂糖の摂取頻度や歯みがき習慣、フッ化物の使用など、さまざまな要因が重なって起こる病気です。そのため、食器共有だけを気にしていても、むし歯を防げるとは限らないのです。

 

まとめ

親子間での口腔細菌のやりとりは自然なことであり、食器を共有するかどうかだけでむし歯を完全に防ぐことはできません。それよりも、日々の生活習慣やケアを整えることがむし歯予防には何より重要です。適切な歯みがきとフッ化物の活用で、子どもの大切な歯をしっかり守っていきましょう。

 

Category - MIミニマムインターベーション

2025年6月
« 5月    
 1
2345678
9101112131415
16171819202122
23242526272829
30  
  • 動画で見る治療
  • よくあるご質問
  • 治療費について
  • 入れ歯外来

宮本歯科クリニックでは、それぞれの患者様に適した歯科治療をご提供いたします。お問い合わせ・ご予約はお気軽にどうぞ。