ダイレクトボンディングの寿命
2024/06/05
今回は、ダイレクトボンディングの寿命についてご紹介します。ダイレクトボンディングは歯の形態を修復して隙間を埋めたり、むし歯により失われた歯質を修復する方法です。ある程度の耐久性はあるものの、一度治療をすればそれで一生もつとは限りません。
ダイレクトボンディングの寿命を決める要素
ダイレクトボンディングの寿命を決める要素の一つに、使用する材料の選択が挙げられます。当院で使用しているハイブリッド樹脂は、歯科用プラスチック(コンポジットレジン)にセラミックの粉末を混ぜ合わせた材料です。セラミックは天然歯に近いような透明感やツヤが特徴で、耐久性や汚れのつきにくさにも優れています。そのため、歯科用プラスチック単体で使用するよりもハイブリッド樹脂のほうが耐久性には優れているといえるでしょう。とはいえ、長期的に使っているうちにツヤが減ってくる、多少の変色をするなどの経年劣化が生じます。
ダイレクトボンディングの寿命
保険適用の歯科用プラスチックで治療を行った場合には、3年程度で劣化して変色してしまうことが多くあります。一方、当院でも使用しているハイブリッド樹脂の場合は、平均して4~6年は良い状態を維持できるといわれています。これはあくまでも平均的な数字であり、メンテンナンスの質によってはそれ以下の寿命になってしまうこともありますし、逆に質の高いメンテナンスができていれば平均的な寿命を超えて良い状態を保てる可能性もあります。
ダイレクトボンディングの劣化をなるべく遅くするには
ダイレクトボンディングが変色してしまう原因は主に2つです。まず1つは先ほどにもお話ししたような経年劣化による変色です。もう1つは、着色による変色です。ハイブリッド樹脂に含まれる歯科用プラスチックは吸水性があることから色の濃い食べ物や飲み物によって着色する可能性があります。一度変色してしまうと自然に元の色には戻ることはないため、いずれにせよ日頃のメンテナンスが非常に重要になってきます。
まとめ
今回は、ダイレクトボンディングの寿命についてご紹介しました。当院でのダイレクトボンディングは、審美性や耐久性を重視して保険適用外のハイブリッド樹脂を使用しています。当院では患者様のお口の中の状況に合わせた治療方法をご提案いたしますので、些細なことでもお気軽にご相談ください。
ダイレクトボンディングに使われる素材
2024/05/31
今回は、ダイレクトボンディングの治療で使われる素材についてご紹介します。ダイレクトボンディングは歯の形態を修復して隙間を埋めたり、むし歯により失われた歯質を修復する方法ですが、これらにはハイブリッド樹脂が使用されます。ハイブリッド樹脂とはどのような素材なのでしょうか。
ハイブリッド樹脂とは
ハイブリッド樹脂とは、一般的な保険診療に使われるプラスチック素材(コンポジットレジン)とセラミックの粉末を混ぜ合わせた材料です。ペースト状になっていて、これを直接歯に接着し、形態を整えます。この素材は光重合によって硬化するため、一定時間光を照射して硬化させてから研磨をして細かな形態を整えます。
ハイブリッド樹脂を使用するメリット
ハイブリッド樹脂を使うことのメリットには、以下のようなことが挙げられます。
・コンポジットレジンより見た目が良い
コンポジットレジンに比べて色のバリエーションが豊富なので、治療をする歯に合わせてできる限り近い色で修復ができます。
・コンポジットレジンより耐久性・強度に優れている
コンポジットレジンは比較的短期間で着色や変色をしてしまいますが、それに比べるとハイブリッド樹脂は劣化しにくい素材です。また、比較的割れにくいことも特徴です。
・セラミックよりは費用を抑えられる
この材料を使用する場合は健康保険の適用外となりますが、オールセラミックのクラウン(被せ物)などに比べると費用を抑えた治療ができます。
ハイブリッド樹脂の注意点
ハイブリッド樹脂は様々なメリットのある素材ではありますが、オールセラミックに比べると細かな透明感やツヤに見劣りすることもあります。強度や耐久性についても同様です。奥歯には強い力が加わるため、ダイレクトボンディングの治療は向かない可能性があります。
まとめ
今回は、ダイレクトボンディングの治療で使われるハイブリッド樹脂についてご紹介しました。当院でのダイレクトボンディングは、審美性や耐久性を重視して保険適用外のハイブリッド樹脂を使用しています。当院では患者様のお口の中の状況に合わせた治療方法をご提案いたしますので、些細なことでもお気軽にご相談ください。
ダイレクトボンディングで行われる「ラバーダム防湿」とは
2024/05/27
今回は、ダイレクトボンディングの治療の際に行われる「ラバーダム防湿」ついてご紹介します。ダイレクトボンディングは、ハイブリッド樹脂を用いて歯の形態を修復して隙間を埋めたり、むし歯により失われた歯質を修復する方法です。これらの治療の中で行われるラバーダム防湿とはどのような処置で、どのようなメリットがあるのでしょうか。
ラバーダム防湿とは
ゴム製のシートをかけて治療をする歯だけを露出させ、無菌的処置ができる環境を作り出す処置をラバーダム防湿といいます。ダイレクトボンディングのように治療をする歯を唾液から隔離したい場合などにこの処置は行われ、唾液からの細菌感染のリスクを極力低くしたい根管治療などでもラバーダム防湿は非常に重要な処置です。
ラバーダム防湿はなぜ必要?
ダイレクトボンディングは、歯質に直接ハイブリッド樹脂を接着させる治療方法です。歯質と材料を確実に接着させるためにはできるだけ唾液などの水分を排除することが非常に大切ですが、口の中というのは基本的に唾液で常に潤っている状態です。そこで、意図的に完全防湿できる環境を作り出すために行われるのがラバーダム防湿なのです。また、ラバーダム防湿で歯だけを露出することができれば、歯ぐきや粘膜、唇、舌などが処置中に患部に触れることを防ぐこともできます。さらに治療を行う歯科医師にとっても、視野が確保されることで修復の精度向上が期待できます。
ラバーダム防湿の手順
- ラバーダム(ゴム状のシート)に、治療をする歯の位置に合わせて穴を開けます
- 開けた穴にクランプと呼ばれる金属の金具を装着します。
- クランプを歯にかけ、治療をする歯だけを露出させます。
- 金属製の枠にラバーダムを固定します。
ゴムのアレルギーをお持ちの方にはこの方法は行えない場合がありますので、ご不安な方は歯科医師に遠慮なく申し出てください。
まとめ
今回は、ダイレクトボンディングの治療の際に行われるラバーダム防湿についてご紹介しました。ダイレクトボンディングの際にはラバーダム防湿を行うことで、治療の精度や安全性を高めることができます。
当院では患者様のお口の中の状況に合わせた治療方法をご提案いたしますので、些細なことでもお気軽にご相談ください。
ダイレクトボンディングの治療の流れ
2024/05/22
今回は、ダイレクトボンディングの治療の流れについてご紹介します。ダイレクトボンディングは、ハイブリッド樹脂を用いて歯の形態を修復して隙間を埋めたり、むし歯により失われた歯質を修復する方法です。どのような流れで治療が進められていくのか、知っておきましょう。
1.口腔内検査
まずはお口の中全体の状態を確認します。目で見るだけでなく、レントゲンによる画像検査や、必要に応じて歯周病の検査も行います。
2.治療方法のご説明
ダイレクトボンディングを行う場所についての治療方法をご説明します。ダイレクトボンディングのメリットだけでなく、注意しなければならない点についてもお話しします。
3.ラバーダムを装着する
ダイレクトボンディングの治療を進めていく際には、「ラバーダム」とよばれる防湿方法を用います。ラバーダム防湿は根管治療の際に用いられることもありますが、完全に防湿をした環境下で治療を行うことがダイレクトボンディングを成功させるために非常に重要です。ラバーダムについては次回以降のブログで詳しくご紹介します。
4.むし歯の除去
むし歯になっている箇所がある場合は、その部分を削って除去します。ダイレクトボンディングはミニマルインターベンション(MI)の考え方に基づいた治療方法でもあるため、歯質を削る量は最小限に抑えます。
5.ダイレクトボンディングの処置
酸処理をしたのちプライマー処理をし、ハイブリッド樹脂で修復をします。このとき、いくつかの色のハイブリッド樹脂を何層にも重ねながら修復をすることで、天然歯に近い色調や透明感を再現していきます。基本的に歯の型どりは必要ないので、その場で修復処置ができます。ハイブリッド樹脂は光で硬化させます。
6.咬合調整および研磨
修復後の形や噛み合わせを最終的に調整し、研磨をして表面を滑沢にします。
まとめ
今回は、ダイレクトボンディングの治療の流れについてご紹介しました。ダイレクトボンディングは全ての症例に適応できるとは限りませんが、適用できる場合は短時間で美しい仕上がりを叶えられる修復方法です。
当院では患者様のお口の中の状況に合わせた治療方法をご提案いたしますので、些細なことでもお気軽にご相談ください。
ダイレクトボンディングに代表される保険診療と自費診療の違い
2024/05/17
今回は、保険診療と自費診療の違いについてご紹介します。歯の形態を修復する方法の一つに「ダイレクトボンディング」とよばれるものがありますが、当院では自費診療として取り扱いをしています。そもそも保険診療と自費診療ではどのような違いがあるのでしょうか?
保険診療とは
国民健康保険法や健康保険法によって定められている診療を保険診療といいます。保険証を提示することで、治療にかかる費用の自己負担額を軽減できるものです。自己負担率は基本的には3割ですが、年齢などにより異なることがあります。保険診療では治療の方法や内容、検査、治療に使用する材料なども全て細かく決められており、その制限の範囲内で治療を行います。
自費診療とは
一方、医療保険制度を利用しない診療を自費診療といいます。治療にかかる費用は全額(10割)を患者が負担するものです。治療の内容や使用する薬剤、材料などに制限がないため、治療の選択肢は広がります。ただし自費診療の金額は歯科医院ごとに自由に決められるため、同じ治療内容であっても歯科医院によって金額が異なることがあります。
保険診療と自費診療の違い
保険診療と自費診療の大きな違いは、使える材料が異なるということです。歯の修復をする際に、保険診療の範囲内で治療をしようとすると金属や歯科用プラスチック(レジン)を使うことになります。一方、自費診療であれば使える材料の選択肢が非常に多くなります。セラミックやジルコニアなど、見た目や耐久性を兼ね備えた材料の使用が可能です。当院のダイレクトボンディングでは、ハイブリッド樹脂を用いています。ハイブリッド樹脂は保険適用の歯科用プラスチックに比べて色調の再現性や耐久性にも非常に優れていますが、セラミックほど高額ではないので経済的な負担も少なく済みます。
まとめ
今回は、ダイレクトボンディングに代表される保険診療と自費診療の違いについてご紹介しました。自費診療はただ高額なだけではなく、それに値するメリットがあります。ダイレクトボンディングはミニマルインターベンションの考え方に基づいた治療方法の一つでもあり、歯を修復する際の選択肢としてもおすすめです(ただし全ての症例に適応できるとは限りません)。
当院では患者様のお口の中の状況に合わせた治療方法をご提案いたしますので、些細なことでもお気軽にご相談ください。