唾液の働きを守るためにできること
2024/12/11
「ミニマルインターベンション(MI)」の考え方には5つの項目が掲げられており、その中の一つに「患者様への教育」があります。その代表例でもある口腔衛生指導(OHI)は歯科医院において欠かせない役割を果たしており、単に歯を磨く方法を教えるだけでなく、患者様の全身の健康に直結する重要なプロセスです。今回は、唾液の働きを守るためにできることについてご紹介します。
さまざまな唾液の働き
唾液は口腔内の健康を保つだけでなく、消化を助けたり、感染症を予防したりと、私たちの体に多くの恩恵をもたらしています。しかし、生活習慣やストレス、加齢によって唾液の分泌量が減少すると口腔内環境が悪化し、むし歯や歯周病、口臭といったトラブルが起こりやすくなります。では、唾液の働きを守るためにはどのようなことに気をつけたらよいのでしょうか。
よく噛む習慣をつける
食事の際によく噛むことは、唾液分泌を促進する最も簡単で効果的な方法です。噛む回数が増えると唾液腺が刺激され、唾液が多く分泌されます。特に硬めの食品や野菜を取り入れると、自然と咀嚼回数が増えます。また、噛むことは消化の助けにもなり、胃腸の負担を軽減するメリットもあります。
水分補給を忘れない
唾液の主成分は水分です。そのため、体内の水分が不足すると唾液の分泌量が減少してしまいます。特にエアコンの効いた部屋や乾燥した環境では知らず知らずのうちに体が脱水状態に近づいていることがあるため、こまめに水分を摂取することが大切です。1日あたり約1.5~2リットルの水を目安に摂取するとよいでしょう。なお、糖分が多い飲料やアルコールは逆効果になることがあるため、純粋な水やお茶を選ぶのがおすすめです。
口腔ケアを徹底する
適切な口腔ケアは、唾液の働きをサポートします。歯磨きや舌磨きを習慣にすることで口腔内を清潔に保ち、唾液の抗菌作用や浄化作用を十分に発揮させることができます。特に舌苔は口臭の原因になるため、専用の舌ブラシを使って優しく取り除きましょう。また、ガムを噛むこともおすすめです。ガムを選ぶ際は、無糖のものやキシリトールが配合されているものを選んでみましょう。
まとめ
唾液が十分に分泌されている状態は、健康な口腔環境の維持に欠かせません。よく噛む習慣や水分補給、口腔ケアを意識的に行うことで、唾液の働きを守ることができます。日々の生活に少しの工夫を加え、口腔内のトラブルを防ぎましょう。