私たちの健康を支える唾液の働きとは
2024/12/09
「ミニマルインターベンション(MI)」の考え方には5つの項目が掲げられており、その中の一つに「患者様への教育」があります。その代表例でもある口腔衛生指導(OHI)は歯科医院において欠かせない役割を果たしており、単に歯を磨く方法を教えるだけでなく、患者様の全身の健康に直結する重要なプロセスです。今回は、唾液が持つ7つの重要な働きについてご紹介します。
唾液の働き
唾液は口腔内を潤すだけでなく、私たちの健康に欠かせない多くの役割を果たしています。唾液の働きを理解することで、日々の口腔ケアの重要性を再認識しましょう。
・口腔内の浄化作用
唾液には口腔内を洗い流す作用があります。食事やおやつの後に残る食べかすや細菌が生成する酸を中和し、歯や歯ぐきを清潔に保つ働きがあります。この作用がむし歯や歯周病の予防にもつながります。
・抗菌・抗ウイルス作用
唾液には、リゾチームやラクトフェリンといった抗菌成分が含まれています。これらの成分が細菌やウイルスの活動を抑え、感染症から体を守る重要な役割を果たしています。そして口腔内の健康だけでなく、全身の免疫機能にも関与しています。
・消化を助ける作用
唾液にはアミラーゼという消化酵素が含まれており、食事中のデンプンを分解し、消化を助ける役割があります。咀嚼時に唾液と食べ物が混ざることで、胃や腸の負担を軽減することができます。
・再石灰化作用
唾液は、歯のエナメル質を修復する「再石灰化」を促進します。食事や飲み物によって歯が酸にさらされるとエナメル質が一時的に溶ける脱灰が起こりますが、唾液中のカルシウムやリンがこれを補い、歯を健康な状態に保ちます。
・潤滑作用
唾液は口腔内の粘膜や歯を潤し、食事や会話をスムーズに行うための潤滑剤の役割を果たします。唾液が不足すると口腔内が乾燥して食事がしづらくなったり、話しにくくなる場合があります。
・味覚をサポートする作用
味を感じるには、唾液が欠かせません。食べ物の成分を溶かし、味蕾(みらい)と呼ばれる舌の味覚受容体に届けることで、甘みや酸味などの味を感じることができます。唾液が減少すると、味覚の感度も低下することがあります。
・緩衝作用(酸を中和する作用)
食後の酸性度が高まった口腔内環境を、中性に戻す働きがあります。唾液中の重炭酸イオンが酸を中和することで、むし歯の原因となる酸性状態を防ぎます。
まとめ
唾液の健康を守ることは、口腔内の健康だけでなく全身の健康にもつながります。毎日の生活で唾液の大切さを意識し、適切なケアを心がけましょう。
Category - MIミニマムインターベーション