妊娠中に歯周病に気をつけなければならない理由
2025/02/07
「ミニマルインターベンション(MI)」の考え方には5つの項目が掲げられており、その中の一つに「患者様への教育」があります。その代表例でもある口腔衛生指導(OHI)は歯科医院において欠かせない役割を果たしており、単に歯を磨く方法を教えるだけでなく、患者様の全身の健康に直結する重要なプロセスです。今回は、妊娠中に歯周病に気をつけなければならない理由についてご紹介します。
妊娠と歯周病の関係
妊娠中は体にさまざまな変化が起こり、それに伴ってお口の健康にも影響が及ぶことがあります。特に注意が必要なのが歯周病です。妊娠中は女性ホルモンであるエストロゲンやプロゲステロンの分泌量が増加することで、歯ぐきが腫れるなどの炎症が起きやすい状態になります。また、つわりで歯磨きができない日が続くと、口腔内の環境が悪化する可能性もあります。
さらに唾液の分泌量や性質が変化して口腔内の自浄作用が低下するため、プラークもがたまりやすくなります。歯周病は進行すると歯を支える骨が溶けてしまう深刻な病気であり、妊娠中はさらに注意が必要です。
妊娠中の歯周病が及ぼすリスク
妊娠中に歯周病が進行すると起こり得るリスクには、以下のようなものが挙げられます。
・早産や低体重児出産のリスク
歯周病菌が血流に乗って全身を巡ることで、炎症性物質が産生されます。これにより子宮収縮を促進するホルモンが分泌され、早産や低体重児出産のリスクが高まるとされています。一部の研究では、歯周病を抱える妊婦はそうでない妊婦に比べて早産リスクが高いことが示唆されています。
・母体の健康への影響
歯周病は慢性的な炎症を引き起こすため、母体の免疫システムに負担をかけます。妊娠中は体の免疫力が低下して感染症にもかかりやすい状態になっているため、他の健康問題を引き起こす原因となる可能性があります。
まとめ
妊娠中はホルモンバランスの変化や免疫力の低下により、歯周病リスクが高まります。しかし、適切なケアと予防を行うことで、母体と胎児の健康を守ることが可能です。日頃からの口腔ケアや定期的な歯科検診を心掛け、安心して妊娠期間を過ごしましょう。次回以降のブログでは、妊娠中の歯周病予防とケア方法についてご紹介します。