「バイオフィルム」はどのようにつくられる?
2024/07/19
今回は、バイオフィルムがつくられるメカニズムについてご紹介します。歯をなるべく削らない治療「ミニマルインターベンション(MI)」の考え方には5つの項目が掲げられており、その中の一つに「口腔内の細菌叢の改善」があります。誰しもお口の中には細菌が棲みついていますが、これらの細菌が集まって形成される「バイオフィルム」について正しい理解とケアが必要です。バイオフィルムが形成されるメカニズムについて知っておきましょう。
バイオフィルム形成のステップ
- 初期付着
バイオフィルムの形成は、細菌が歯の表面に初めて付着するところから始まります。口腔内には唾液中に多くの微生物が存在しており、その一部が歯の表面に付着します。特に、唾液中の糖タンパク質が細菌の付着を助ける役割を果たします。
- 細菌の成長と繁殖
細菌が歯の表面に付着すると、増殖を開始します。この際、細菌は自らの周囲に粘着性のある物質を分泌し、次第に膜を形成します。この膜がバイオフィルムの始まりです。この段階でのバイオフィルムは非常に薄いもので、通常の歯磨きで除去できます。
- 膜の成熟と多層構造の形成
②で形成された膜にさらに多くの細菌が集まり、膜が厚くなっていきます。異なる種類の細菌が集まることで多層構造が形成され、バイオフィルムはより複雑で強固なものになります。この状態になると、通常の歯磨きだけで完全に取り除くことが難しくなります。
- バイオフィルムの成熟と抗菌性の獲得
成熟したバイオフィルムは細菌同士が緊密に連携し、外部からの抗菌薬や歯磨きによる物理的刺激に対して非常に強い抵抗力を持つようになります。この状態になると、除去するためには歯科医院での専門的なクリーニングが必要です。
まとめ
今回は、バイオフィルムがつくられるメカニズムについてご紹介しました。バイオフィルムはお口の中の健康を脅かす厄介な存在ですが、適切なケアと専門的な治療を組み合わせることで、その影響を最小限に抑えることが可能です。毎日の口腔ケアを怠らず、定期的に歯科検診を受けることでお口の中の健康を維持していきましょう。当院ではミニマルインターベンション(MI)の考え方に基づき、患者さまお一人おひとりにとって最善の治療方法をご提案しております。ご予約、お問合せはお電話で承っております。
Category - メインテナンス